入試分析(小石川中学校)

2018年度 適性検査分析
適性検査Ⅰ
出典:
文章1 串田孫一「考えることについて」による
文章2 出口治明「人生を面白くする 本物の教養」による
出題形式:例年通り、2つの文章を読む問題形式です。問題3までありますが、問題1が(1)・(2)とあるので、文章読解の問題が計3問、最後の1問が作文問題です。
内容:文章1・文章2ともに、「ものの考え方」について書かれています。
問題1の(1)は「知ること」の出発点にある気持ち、(2)は、「知ることができた」ときの気持ちを答えるものでした。どちらも解答となる箇所(かしょ)は見つけやすいものでした。問題2は、理由説明問題ですので、因果関係を読み取るだけです。必ず正解したいところです。問題3は、例年と同様の400字以上440字以内の作文で、テーマも「これから学校生活や日常生活の中で、何を大事にし、どのように行動していくか」という頻出のものでしたので、取り組みやすかったことでしょう。
適性検査Ⅱ
大問1はさいころを扱った問題でした。受検生にとってはなじみ深い題材です。
問題1は展開図を書く問題で、実際にさいころの面のスケッチを描くものです。問題2はさいころの目を使って式を立てる問題でしたが、ルールに従うことができれば答えることは簡単です。問題3は鏡に映したさいころについて考える問題です。6の目以外が4個ずつ映ることに気が付けば正解にたどり着ける問題です。
大問2は「食料の輸入」を題材とした問題でした。
小石川中の適性検査で恒例の出題となっている「世界の中の日本」というテーマから、計算力が必要な問題・グラフの作成や字数の多い記述問題が出されました。今年の120字以上150字以下の記述は、3つのことに言及しなければならず、上手にまとめるのに苦労した受検生も多かったことでしょう。
大問3は「花粉や黄砂の測定結果」について考察する問題です。
問題1が「花粉を顕微鏡で観察し、花粉の数を求める」問題で、単位量当たりの計算を必要とします。問題2は黄砂を観測する装置の仕組みの説明から、計測結果を考察する問題です。初めて知る観測装置なので、会話文や図を読み仕組みを理解する力が必要です。問題3は「日本で黄砂が観測される原因と気象状況の関連」について考察し記述する問題です。身近な話題ですが、問題文や資料から観測の方法や分析の仕方を読み取る力が必要な問題でした。
適性検査Ⅲ
大問2つの構成で、傾向も例年通りでしたが図示をする問題がはじめに2題出てきたので戸惑った受験生も多かったことでしょう。
大問1は「泡」に関する問題です。
「石けんの混ざった水でできた泡」の構造、「石けん液が細かい泡になる容器」の構造を書くという問題、それを踏まえて「泡の形が変化する理由」を考え確かめる実験方法を考える問題、「泡がたくさん出ると困ってしまう場面」の例示、考察と例示に対する工夫を問う問題が出されました。身近な現象から理由を考え実験により証明していく過程を問われる検査でした。日頃からの取り組みで差がついたことでしょう。
大問2は「図形の折り曲げ、対称性と規則性」に関する問題です。
長方形の紙を折るという単純な作業に関する問題。指定された折り方に沿って折る場合に折り目がどう変わるか、ルールの理解と規則を発見して解く力を問うような問題でした。解答に至った理由の説明も求められており、こちらも得点差がついたと考えられる問題です。

2017年度 適性検査分析
適性検査Ⅰ
出典:
文章1 木皿泉「木皿食堂2 6粒と半分のお米」による
文章2 武田双雲「伝わる技術」による
出題形式:例年と同じく2つの文章を読む問題形式です。問題3まであり、文章読解の問題が2問、最後の1問が作文問題です。
内容:問題3の問題文にも書かれているように、文章1・文章2ともに、「自由」についての考え方について書かれています。問題1、2は、どちらも「具体例を一つ、本文中から探して書きなさい」というものでした。2題とも具体例を探すという問題になったのは、これが初めてです。どちらも解答となる箇所(かしょ)は見つけやすく、とくに問題2は、「何のためにそうするのかがはっきり分かるように」という指示まで出されていますので、必ず正解したいところです。問題3は例年と同様の400字以上440字以内の作文で、テーマも特別なものではないので、取り組みやすかったことでしょう。
適性検査Ⅱ
大問3つの構成でした。大問1は「図形」がテーマで、立体の見方・対称性・規則性を見つける問題です。簡単な例を具体的に書き出して、作業をする中で解答を導き出していけるとよいでしょう。特に問題1は必ず得点したいところですが、同じ大きさの正三角形を答えるというようなミスは禁物です。問題2は、Aグループの枚数が(3の倍数+1)、Bグループが(3の倍数)になっていることに注目し、その差の1は3本の対角線の交点がある「き」の三角形であることに気が付ければスピーディーに解答にたどりつけます。問題3は問題文の誘導に従って規則性を検証する問題です。
大問2は「世界の水資源」を題材とした問題でした。小石川中の適性検査で恒例の出題となっている「世界の中の日本」というテーマから、計算力が必要な問題や字数の多い記述問題が出されていました。今年の計算はなかなか骨の折れるものでした。単位の換算も含めて、計算に時間をかけてしまった受検生が多かったことでしょう。
大問3は「時間を計ることを題材にした理科実験」を考察する問題です。問題1が「太陽、ふり子、ろうそく」のいずれかの法則から時間が計れる理由を記述する問題で、教科書範囲の知識が必要とされました。問題2は実験結果を考察し、比例の関係を導く問題でした。問題3は対照実験について考察する問題でした。いずれも、決して目新しいものではなく、あわてずに考えれば正解にたどり着ける問題です。
適性検査Ⅲ
大問2つの構成で、傾向も例年通りでした。
大問1は「もののあたたまりやすさ、熱の伝わりやすさ」に関する問題です。「木より金属の方があたたまりにくい」という仮説が正しいとしたらその根拠は何か、金属のベンチが夏に熱くなる理由、実験結果の共通点とその考察について答え、「金属で作ると良い道具」を挙げる問題でした。身近な現象から仮説を考え実験により修正していく過程を問われる検査でした。日頃からの取り組みで差がついたことでしょう。
大問2は「円や球を並べたときの面積、対称性と規則性」に関する問題です。複合図形の面積や倍率や、敷き詰めた円の大きさ、ルールの完全理解と決断力などを問う問題、また、規則を発見して数を正確に数える問題でした。解答に至った理由の説明も求められており、こちらも得点差がついたと考えられる問題です。

2016年度 適性検査分析
適性検査Ⅰ
出典:
文章1菊田まりこ「本は心の友だち」による
文章2茂木健一郎「ある時脳ははばたく」による
出題形式:例年と同じく2つの文章を読む問題形式です。問題3まであり、文章読解の問題が2問、最後の1問が作文問題です。
内容:文章A・文章Bともに、読書をすることのメリットが書かれています。どちらも読書をするべきだという立場で書かれているので、問題3の作文テーマ「読書が与えてくれるもの」につながる文章でした。内容としては、どちらも平易な文章でした。問題1、2は読解問題です。問題1は、解答の仕方に指定が多くあるので、書きやすいはずです。問題2も筆者の考えを読み取る問題なので、正解したいところです。問題3は例年と同様の400字以上440字以内の作文で、テーマも頻出のものなので、取り組みやすかったことでしょう。
適性検査Ⅱ
大問3つの構成でした。大問1は「渋滞」を題材にした作業中心の問題で、ルールと条件に従い作業を行えば平易に解答を導き出すことができました。必ず得点しなければならない問題です。
大問2は「日本の小売業」を題材とした問題でした。例年通り、「世界の中の日本」というテーマや、計算力が必要な問題が含まれていました。割合を計算する問題に手間取ってしまった受検生も多かったかもしれません。
大問3は「アゲハチョウの幼虫のからだのしくみと蛹化する環境についての実験」を考察するものです。資料から幼虫の体のしくみを考える問題が1問、実験結果から結論を導き説明する問題が2問の、小問3題で構成されています。
適性検査Ⅲ
例年通り大問2つの構成でした。
大問1は「もののすべりやすさ」に関する問題です。円と割合に関する計算問題以外は、すべりやすい所、すべりやすくなる原因と検証実験、すべりにくくする工夫など、身近な現象への興味関心や理科実験のやり方を問われる問題でした。日頃からの取り組みにより差がついたことでしょう。
大問2は「規則性と展開図」に関する問題です。立体の展開図や、模型を作るため工作用紙に切る線と折り曲げる線を書き込む問題、及び、規則を発見して数を正確に数える問題でした。解答に至った理由の説明も問われており、こちらも得点差がついたと考えられる問題です。

2015年度 適性検査分析
適性検査Ⅰ
出典:
文章1木下是雄「理科系の作文技術」より
文章2養老孟司「メッセージのメッセージ」より
出題形式:小石川中・武蔵中・富士中・大泉中の共通問題は、公開されたサンプル問題(小石川中・武蔵中の過去問題)とほぼ同様の形式で、「メッセージ」について書くものでした。大きな形式上の変更はありませんが、総計の文字数は最大500字以下と、心もち少なくなっています。
内容:文章1・文章2に共通するのは「コミュニケーション」、「人間同士の伝達」です。問題1・問題2は部分要約の問題で、問いのキーワードから内容をしぼっていけますが、どの言葉を利用し、どこを削るか、つめて考える必要があります。問題3の課題「人が何かを伝えあうときには、どのようなことが重要か」というテーマはこれまでの都立中でもよく出題されてきたものです。
適性検査Ⅱ
大問3つの構成でした。大問1は「うるう年」を題材にした計算中心の問題でした。うるう年の計算法がきちんと説明されていたので、受検生は得点しやすかったはずです。
大問2は余暇の使い方を題材とした問題でした。例年通り、計算力が必要な問題が含まれていました。
大問3は「発泡スチロールでできた立体を水中に沈め浮力により水面上へ打ち出す実験」について考察するものです。小問3題で構成されています。
適性検査Ⅲ
例年通り大問2つの構成でした。 大問1は「ボールのはずみ方」に関する問題です。割合の計算問題以外は、実験結果に影響を与えると考えられる要素を挙げていく、理科実験への興味関心を問われる問題でした。日頃からの取り組みにより差がついたことでしょう。
大問2は「カレンダーを題材にした数の性質」に関する問題です。指定条件の通りに具体例の書き出しを行う、法則の理解が試される問題でした。解答に至った理由の説明もあり、こちらも得点差がついていると思われます。

2014年度 適性検査分析
適性検査Ⅰ
出典:
文章1毎日新聞コラム
文章2鈴木義理「日本語のできない日本人」
文章3竹内政明「『編集手帳』の文章術」
今年は文章が3つになりました。設問は4問。問題1は「こだわる」という言葉が、「否定的な意味合いが強い言葉から、肯定的な意味で使われるようになった」ということを読み取り、実際に「こだわる」という言葉を肯定的な別の表現で言い換えるという問題です。問題2、問題3は記述問題です。これらの問題は「こだわるという言葉について」から、「言葉の変化について」の記述となっており、問題4「言葉の変化について」の作文へと流れを作っています。作文は文章2と文章3の両方の意見をふまえ、401字以上440字以内で書く問題です。例年通りの設問でした。
適性検査Ⅱ
例年の出題傾向をふまえた問題でした。外国に関するテーマ、計算を多用する問題、グラフの作成、150字前後の記述、とほぼ変化ありません。よって、小石川中の対策を十分に積んできた受検生は安心して問題に取り組めたはずです。ただし、毎年のことではありますが、計算に時間を取られてしまった諸君は、最後まで終わらないということになってしまったでしょう。
適性検査Ⅲ
例年通りの大問2問構成で、問題のレベルも昨年並でした。取り組みやすいため、受検生は手ごたえを感じますが、書けてはいても点は低いことが想定される問題です。
大問1が理科の内容で、鉛筆の字が消えること、レシートの字がうすくなることが題材となっています。小問は7つで、身近な現象、実験企画、予想結果、便利にする工夫などの説明が出題されています。大問2が算数の内容で、おはじきを線で結ぶことが題材となっています。小問は5つで、ルールを読み取り地道に調べる力と法則を見出し、説明する力を問われました。
ボーダーライン
例年の傾向と大きな変化がなく、各受検生が十分に対策を講じてきていると考えると、若干ラインが上昇し、適性検査全体の素点で55%程度と考えられます。

2013年度 適性検査分析
適性検査Ⅰ
出典:
文章1柳澤桂子「本を書く」より
文章2福岡伸一「鈴木少年の大発見」より
昨年は、課題文が3つであったり、漢文の書き下し文が出たりと、問題の傾向が少し変わり、やや難しいと思われる問題でした。今年は、文章が2つに戻りました。片方は小説を書くという視点、片方は化石の発掘という視点から、強い思いや情熱が結実することについて語られています。どちらも随筆で読みやすく、昨年よりも楽に感じた受検生が多かったのではないかと思われます。
設問に関しては、問題1が記述と書き抜き、問題2が記述、問題3が作文です。作文は、2つの文章のそれぞれの筆者の考えに関連づけて書くもので、401字以上440字以内でした。どの設問も標準的なもので、特に難易度が高すぎるものはありません。
適性検査Ⅱ
概ね昨年と同じような傾向の問題でした。したがって、きちんと準備をしてきた受検生には取り組みやすかったと思います。ただし、計算を必要とする問題数を考えると、小数の計算がかなり速くて正確でないと、最後まで終えることは難しいでしょう。
なお、今年は、都道府県の位置がきちんとわかっていないとできない、地図を塗り分ける問題がありました。例年は、知識があったほうが楽という問題はあるものの、知識がないとだめという問題は出題されていませんでした。
適性検査Ⅲ
大問1は、サケが自分の生まれた川に戻ってくることについての問題でした。問題1は、仕事算の考え方を使って式と説明を書かせる問題で、それ以外の3問は、調査の方法・実験の方法について自分の考えを書かせる問題でした。
大問2は、正多角形に関しての問題でした。オイラーの定理を使う問題3の(2)以外は、例年よりもかなり易しいのではないかと思われます。
ボーダーライン
例年の傾向と大きくは変わらないものの、解きにくい問題は減っており、合格ラインは60%を超えてくると考えられます。

2012年度 適性検査分析
適性検査Ⅰ
以前は随筆や論説文が2題出題されており、昨年はそれが小説1題という形式に変わりました。今年は随筆1題と、関連した短い文章が2題という形です。随筆は公立中高一貫校でしばしば見られる、「子供の頃には何のためにやっているかわからずにやらされていたが、いま振り返ると…」という主旨の文章です。それに対して残りの短い文章の2題は、漢文とその書き下し文※、さらにその訳文で、小学生の段階では、多くが初めて触れる文章であると思います。さらに文章3は訳文の状態でもわかりにくい内容です。「漢文」という見慣れない文の形式に戸惑わず、しっかり文章の内容を理解できたかどうかが今年度の問題に取り組む時にポイントになります。(※書き下し文=助詞などを付けたし日本人でも読みやすいようにしたもの)
設問は昨年度と同様、3問でした。大問1は、指定した条件を満たす1文を抜き出す問題で、私立中入試の形式に近いものです。大問2は、随筆の中の一文について説明する問題で、例年の傾向に近いものです。大問3は、文章1、2、3の「いずれかに関連づけて」書く作文です。
適性検査Ⅱ
「資料の分析を通して、パイオニアを目指す意欲をみるとともに、日本や世界のことについて考察する力や、考えを表現する力をみる。」という基本方針のもと、資料を分析する力と、自分の考えを適切に表現させる問題です。作文的な問題も含まれており、新しい何かを生み出す意欲も要求されます。
難易度や問題の形式は昨年度とほぼ変わりません。資料をもとにして、計算させたり考察させたりする問題が中心です。ただし、一昨年から徐々に小問数が多くなっています。今年度は大問が1題、細かく言えば小問が10問でした(昨年度は大問が1題、小問が8問)。正確で早い計算力が、昨年まで以上に要求されます。
なお、昨年度は農業に関する出題があり、農業従事者の高齢化や、日本の農業の特徴である集約農業についての知識を持っていると楽に解ける問題でした。今年度は、人口ピラミッド、旅客および貨物輸送などについての出題で、資料だけで充分に理解できる問題ですが、やはり普段から社会情勢や現代日本の問題などについてアンテナを張っておくことが重要です。
適性検査Ⅲ
昨年とほぼ同様に大問2題、小問8題の構成でした。大問1は、雲や雨量計に関する問題、大問2は平面と立体のパズルの問題でした。近年の大問1は、「植物」「水の全循環」「乳酸菌」などの生物・地学的内容が出題されています。大問2は、「ゲーム」「パズル」などの算数系の内容が出題されています。
理系の問題では、自然科学への興味・関心の程度と表現力や論理的思考力を問われますので、普段から身の回りの科学的な事柄に関心を持つことが大切です。単なる文字上の知識だけではなく、理科事典などを使って図や写真を見ながら学習をしましょう。時間があれば、博物館などに足を運び、自分の目で見てじっくり調べたり体験したりするのも良いでしょう。 算数系の問題は数理的な分析と判断力を問うものです。対策として、ゲーム・条件整理・推理などの分野の問題をいくつかこなしておき、パズル的な考え方や情報の分析に慣れておきましょう。また、いずれの分野を解く場合も、正確で素早い計算力と、ことがらの処理能力が前提となります。

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